この10年ばかし、昔のこと、ある一定の時期について、懐かしむ以上の気持ちを持ってしまう。
俗にいう「あの頃はよかった」とは少し違うつもりでいたけど、つい最近になって、同じかもなと開き直った。
そんな懐古趣味じゃなくて、ほんとにほんとに楽しかったとしか言えない時間があったんだよ、と心の中で叫んでいたけど、同じよね。
そして、何故こんな気持ちになるのだろう?と不思議でならなかったけれど、これって年を取った証拠なんだなとふと分かった。気が付かないうちに、ちゃんと心が年を取っている。外面は若ぶったり、誤魔化したりできるけど、自分の心こそどうにも操作できない。
しかし、楽しかったとしか言えない時期にだって、私は苦しい思いも、悲しい思いも、醜い心もちゃんとあったくせに、何故かそういったことはありませんでした、という思いでに変わっている。悲しい記憶は頑張らないと思いだせない。
今年の春、兄が死んだ時に、楽しかった思い出も、悲しかった思い出も全て記憶から消えてくれればいいのに。兄などいなかったくらいの気持ちでこれから生きていけたらいいのにと思ったけど、楽しかった思い出はこれからも消えずに、時々それが苦しみの元になるのだろうな。

ところで。ここまで考えてきて、こういう気持ちの変化は、いわゆる更年期なのでは?と思い当たったけれど、さてどうでしょう。